ペットの売買がない日本へ 澤木のブログ

ペットを取り巻く環境の問題を、辛辣に取り上げて参ります。

ペットショップで売れ残った犬たち

ペットショップに並ぶ犬猫たち。近年はだいぶ均衡してきているそうですが、まだまだ犬の方が圧倒的に多いです。皆さんの身の回りで考えてもらっても、猫はまだ「もらってくる」「拾ってくる」という事もありますが、犬を迎えようと思うと、ほぼ「買いに行く」という人が多いのではないでしょうか?

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では、そんなペットショップに並ぶ犬たちは、売れ残った場合にどんな顛末になるのでしょうか?これまで想像の中で語られてきたものも含めて、私が実際に見たり聴いたりしてきた、実際の業界内の事を書いていきたいと思います。

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まず、日本の消費者とペット業界など、犬を取り巻く環境の悪しき慣習として、幼齢であればあるほど買い手が多いという問題があります。おおよそ生後3か月を経過すると、価格の見直しが始まります。店頭に並べられるのは、生後49日~と決められていますから、1か月半前後という事ですね。5か月もすれば、最初に付けられた価格の半分以下になる場合もあります。特に、身体の成長が目に見えて早い、中型犬や大型犬は価格の下がり方も大きいです。

 

そんな彼らを、ショップが「売れ残った」と判断した時に、どのような行き先があるのでしょうか?

 

①他店(特に安売りの店)に移される

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最もよく使われる手段だと思います。都市伝説のように語られるほど、店も犬を殺したりはしません。店にとっては彼らは商品であり、仕入の価格や飼養する為のコストもかかっています。どうにかして売ろうとするのが、普通のやり方です。しかし、移されるか最初からそこに行くかは別として、薄利多売な店ほど人も金も掛けられないのは、ペットショップでも同じです。新聞紙を破いたもので部屋が埋められていたり、水が満足に飲めない、排せつ物が除かれていないなど、安売り店ほどケアができないのは、方程式と言って良いほど通説です。

 

②ブリーダーに返す

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市場ではなく、ブリーダーから直接仕入れている店なら、こういう契約になっている仔犬も存在します。ほぼ、女の子に限ります。容易に考えられる事は、成犬に近づいた犬を繁殖に利用する事です。店舗で売れ残った女の子をブリーダーに返す時に、代わりの犬を受け取るという約束になっている事が殆どです。という事は、そのブリーダーは常に仔犬を産ませ続けている類のブリーダーという事。そういう場所へ帰っていった彼女を、この先に待っているのは・・・。ちなみに、男の子は殆どそういう契約になりません。

 

③引取屋に引き取ってもらう

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一時期の引取屋の報道熱は、今はどこに行ったのでしょうか?引取屋とは、ペットショップやブリーダーなどから、有料で犬を引き取ってきて、まともな世話もせずに閉じ込めておくような商売です。非常に報道された時期があったのですが、今はメディアでほとんど目にしなくなりました。あまりの風当たりの強さに、廃業するところが増えたのか?あるいは報道に圧力などがかかったのか?何にしろ、表に出てくるペット業界の「下請け」のような商売で、犬にとっては生きる事と死ぬ事と、どちらが幸せなのか分からない状況です。そんな彼らは、口をそろえて「ペットショップからは感謝されている」と言います。

 

④棄てられる

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前回の動物愛護法の改正で、保健所は業者からの引取を拒否できるようになりました。それまでは、金を払って保健所に持ち込んでいた業者も、非常に多かったと思います。それができなくなり、引取屋へのネットワークなども無ければ、彼らは「棄てる」という選択をする場合があります。結果として、それらの犬は保健所に収容されることになるので、この業者からの引取を拒否できる、という法改正は正解だったのか不正解だったのか、判断の分かれるところです。

 

⑤譲られる

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通常、ショップはこのような判断をしません。それは、「待てば貰える」と考える顧客が増え、犬が売れなくなるからです。私が知っているショップの経営者からは、いよいよ残ってしまった犬を知り合いに譲る、という話を聴いた事がありました。過去の愛護センターの所長と話をした時も、「ペットショップは犬のお陰でご飯が食べられるんだから、売れ残ったコがいたらプレゼント付けてでも家族になる人を探してあげるのが、犬に対する恩返しでしょう?」と言っていました。

 

⑥殺される

ごく一部で実施されているのは事実でしょう。私はそういうショップで働いていた人から、「店長は裏で首を捻ってた」と聴いた事があります。

 

ペットショップに並ぶ仔犬たちは、行く場所も決まっていないまま、この世に生を受けます。そして最悪の場合は、劣悪な出産の場や輸送の中で命を落とします。ペットショップの店頭までたどり着いても、その経営者の考え方によっては売れ残る事が命の危険に直結する場合もあります。そのコは、せっかくこの世に生を受けながら、名前すら付けられずに悲惨な運命を辿る事になります。行く場所が決まっているから、この世に生を受ける、このような形が当たり前になれば、少なくとも悲劇は起こらずに済むのではないでしょうか?行く場所も決まらないのに産まされるのは、全国に何万・何十万というペットショップの部屋があるからです。

 


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