ペットの売買がない日本へ 澤木のブログ

ペットを取り巻く環境の問題を、辛辣に取り上げて参ります。

【生体販売との戦い方】

2年ほど前、「イギリス政府はイングランドのペットショップで生後6ヵ月未満の子犬や子猫の販売を禁止する方針を発表した。イギリスでは劣悪な環境でペット用の犬猫を繁殖させる子犬工場(パピーファーム)に対する批判が強まっており、悪質業者を排除する狙いがある。」というようなニュースが流れました。

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私達は大いに歓迎して喜びましたが、一つ冷静に考えてみましょう。

 

まずは、この方針は「イングランド限定」であり、どうやらイギリス全土では無いようですね。こういうところも、マスコミは私達に意図して誤解させるような表現を、頻繁に使います。このニュースを「イングランドだけ」と冷静に読んだ人は、どのぐらいいるでしょうか?

 

もう一点は、生体販売が禁止になった訳ではなく、子犬や子猫の販売が禁止になったというところです。このニュースが流れるや否や、「イギリスで生体販売が禁止になった」というニュアンスで拡散されたのは事実です。しかし、「イギリスで」も「生体販売が禁止」も正しく無い情報だったという事です。

 

昔から「イギリスでは生体販売が禁止されている」と言っていた人が、どれほど沢山いたでしょうか?私も非常に頻繁に、見聞きした覚えがあります。2年前のこのニュースは奇しくも、その情報が間違いであった事を裏付けるものになりました。イギリスでは生体販売は禁止などされていなかった、のが正しい情報です。

 

さて、ここからが日本の今後の課題です。

 

日本で同じような状況まで持っていくには、相当な時間が必要です。イングランドが子犬や子猫の販売禁止を、いとも簡単に成し遂げたと思いますか?皆さんが思い描くような、「動物に友好的な代表国家イギリス」というイメージを持ってなお、生体販売はそこに存在していた訳です。

 

この生体販売縮小の方針を通すにあたって、誰かスーパーマンのような政治家がガンガン進めたんでしょうか?魔法で法律ができたんでしょうか?この方針は、イングランドの人の1票1票がその方向を望み、政治家がそれに感化されたという、地道な流れの賜物です。

 

その前段にあったのが、皆さんが思い描く「まるで生体販売が禁止されていると勘違いするような良い環境」な訳です。日本もまずは、そこに持っていく必要があります。

 

動物に関する悲惨なニュースが流れた時、Yahoo!ニュースのコメント欄にも「生体販売を禁止すればいい」という趣旨のものが溢れます。「そうか、意外と生体販売を問題視している人は多いんだ」と喜ばしい一方で、「そんな極端な夢想を言ってもなー」とも思います。

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生体販売が全国に溢れかえっている現状で、すぐに「生体販売禁止」になどできるはずがありません。私達は「生体販売が無くなればいいなぁ」と夢想する事が目的ではなく、「実際に生体販売を縮小させる」事が目的です。

 

かつて、浅田美代子さんが17万筆の署名を持ち込んだ時の内容を知っていますか?そこには間違っても「生体販売禁止」などとは書いていません。「数値の強い規制」や「免許制の導入」など、「生体販売をし難くする為」の要望が書かれていました。これが現実的に戦うという事です。

 

今の日本の生体販売事情を踏まえて、「生体販売を禁止しろ」と言うのは、尖閣諸島に領海侵犯してくる船を「即撃沈しろ」と言っているのと似ています。私も心意気は同じですが、本当にそれらを防ごうと思うと、「現実」と戦うための「現実的」な段階が必要です。

 

まずは、イギリスが持つ「動物に友好的な国家と国民性」という段階を、日本でも仲間を増やして構築です。すると、生体販売や仔犬工場が減っていきます。業界の力が無くなったところで、やっと「生体販売禁止」のような、振り切った方針にも可能性が出てきます。

 

私達は正しい情報で、正しい知識を持ち、正しく生体販売と戦っていかないといけません。

 


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