【動物愛護であっても「ブーム」は要らない】
「命」に関わるものは、絶対に「ブーム」にしてはいけない。この想いは絶対に変えてはいけません。つまり「動物愛護ブーム」も「保護犬ブーム」も「保護猫ブーム」も、あってはならないということです。
おごれるものも久しからずや、ブームの後には必ず荒廃した風景が残ります。真摯な活動であるべき保護譲渡活動が、そんな状況になるのは、活動への社会的信頼をも失墜させる事になりますし、何よりもやっと家族ができたと思った犬猫が、再び捨てられたりする懸念があります。古くはハスキーブームの後、チワワブームの後、そして近年の猫ブームの後や秋田犬ブームの後に何が起こるか?起こったか?を考えると、空恐ろしいものです。
一時期は、都市部での「野良チワワ」が話題となっていた時期まであります。
かつて、「クローズアップ現代+」で、殺処分ゼロに関わる問題が取り上げられた回がありました。タイトルからは、「殺処分ゼロ」という言葉が独り歩きしている弊害を、しっかりと議論する内容かと思い期待しましたが、その内容と責任転嫁には失望しました。
まずは、私からすると忌むべき存在である「競り市」からの、この言葉です。「家庭に迎え入れるのに、これぐらいでいいだろう?」「今はこれが売れなくなってきた、消費者が贅沢になった」という趣旨の市場側の言葉を、そのまま垂れ流した事です。このNHKの編集では、まるで市場で犬猫が余るのは、消費者側に問題があるかのようでした。
さらに驚いた事は、この売れなかった仔犬や仔猫は、愛護団体が引き取っていくという事実です。感傷的に考えると、「放っておけない」からでしょう。誤解を恐れずに言うと、私は大反対です。そのような行為は、生体販売業界の「下請け」をしているに過ぎません。最低でもその「下請け専門」になってはいけません。
また、意図して作られたであろう、「業界下請け愛護団体」も存在します。元業界の人間が立ち上げた団体で、保健所の保護犬や保護猫ではなく、生体販売流通の売れ残りばかりを引き取り、それを譲渡しています。これは従来からの「繁殖→市場→ショップ」というペット流通に「→偽愛護団体」を足しただけの、生体販売と同じルートです。その団体は、私が確認した段階では、4年間で8,000匹の譲渡をしていました。この数字を見て、まともな譲渡が行われていると思いますか?
保護譲渡活動というのは、身の丈に合った範囲で行うことが、最も大切です。背伸びをしたり、違う事が目的になってしまうと、多頭飼育崩壊や逃走などの問題が、必ず顕在化してきます。
ごく最近「動物愛護」に乗っかてきたタレントや政治家、キャパを超えた活動をしようとしている団体には要注意です。彼らが本当に「動物愛護」に目覚めたのなら、最初は身の丈にあった行動から始めるでしょう。
少しでもブレ始めると影響力の大きな彼らは、非常に強い磁石となる可能性があります。私達は変な団体などをプッシュしてないかどうか、暖かくも厳しい目でウォッチしていく必要もあるのではないかと思います。