ペットの売買がない日本へ 澤木のブログ

ペットを取り巻く環境の問題を、辛辣に取り上げて参ります。

ペットショップで買うから2万4千死ぬ話の考察

私も何度も言ってきた、「生体販売流通過程で年間2万4千死亡」の中身を、もっと深掘りしたいと思います。

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まず、その数字自体に驚いた方は、次の表をご覧下さい。

 

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少し古い数字になりますが、この頃には年間80万前後の犬猫が流通し、2万4千前後がその過程で死んでいる事を表したデータです。これは、朝日新聞の調べによるものですね。

 

前回の動物愛護法改正の際に、販売業者に義務付けられた「犬猫等販売業者定期報告届出書」というものを基にしているようですが、これがあてになるのかどうかが怪しくなってきました。

 

①「販売または引き渡し」はもっと少ない?

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この報告義務は、犬猫販売に関わる全ての業者に課せられますから、1頭の犬が繁殖業者→競り市→ショップと流通していくと、1頭の犬につき3回の報告がカウントされてしまう事になります。つまり、80万頭ではなく「80万回」の流通だという事になります。だとすると、死亡率はもっと格段に上がるという事です。

 

②「死亡数」は天寿を全うしても含まれる?

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「流通過程での死亡」という言葉だと、運搬中に死んだように聞こえがちですが、これはその報告による数字で、それぞれの場所で死亡した数も含まれます。繁殖業者やペットショップの中で、理由は問わずに死亡した数です。私はこの流通に乗せた時点で認められませんが、仮にこの流通に乗せてなお「良心的なブリーダー」という存在があるとすると、天寿を全うした犬や猫もここに含められるという事です。しかし逆に朝日新聞によれば、この数字の中には「死産」が含まれていないそうです。「死亡数」を私たちが考える「流通による事故死」と合わせると、前者の理由で少しマシになり、後者の理由でまた厳しくなると考えられます。

 

③業者も行政も定義を理解していない?

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何を「販売または引き渡し」に含めるのか?何を「死亡」に含めるのか?ハッキリ説明しないまま始まった制度です。元々いた親犬は販売や死亡に含めるのかどうか、先程出てきた死産は含めるのかどうか、これは業者任せになっている面が大いにあります。大きな概要は把握できても、A業者とB業者で数え方が違えば、正しい数字など把握できるハズがありません。それを受け取ってしまう行政側も、ハッキリと定義が決まっていないか、決まっていたとして末端まで共有できているとは思い難いです。

 

④届出の精度は大丈夫か?

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良質だろうと悪質だろうと、ブリーダーもペットショップも全く同じ手続きで始められます。簡単に想像できる通り、このような事務的な届け出についても、良質な仕事をする人ほど精度が高く、悪質な仕事をする人ほど低くなります。つまり、流通に関わる死亡数については、相当「甘く」報告されているのでは無いか?という事が想像できます。これが③の理解不足と相まって、より都合の良い報告になっているのでは無いかと思います。

 

まとめ:80万頭の流通は、実は80万回ではないかと思われます。死亡数には寿命も含まれたり、死産が含まれなかったりします。それらが軽く見られる程、そもそも正しい数字が集計されているかどうかも怪しいのかも知れません。全てを総合して考えると、流通した数に対する死亡率は、表から算出される3%前後より、よほど悪い事が想像できます。

 

しかし、前提は変わりません。「買う人がいるから、流通過程で死ぬ」犬猫が存在するんです。

 

 


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