近年、行政による犬猫殺処分の数は、5万前後にまで減ってきています。ここで、よく誤解されがちなのが、「あと5万で解決」だと思ってしまう事です。
5万は、新しい家族はおろか、愛護団体ともボランティアとも縁がなく、保健所や愛護センターで殺された命の数です。では、愛護団体やボランティアに引き出されれば、問題ないのでしょうか?
彼らが本当に必要としているのは、終生共に生きられる「家族」です。それは我々保護活動をしている立場の人間であっても、冷静に承知しているはずです。だとすると、愛護団体やボランティアの元にいる犬猫は、まだ目的を達成していない訳です。それプラス5万が、溢れた犬猫の問題解決の数なんです。
行政は、保健所や愛護センターから引き取られていった数を、まとめてしまっているので分類が困難ですが、飼い主が決まった犬猫と、これから飼い主を探す犬猫のポジションは、本来は大きく違います。広島が「譲渡率全国1位」になったところで、家族決定の数が全く追いついていない事が、この問題を端的に表しています。
だとすると、家族を必要としている犬猫の数は、まだまだ数十万に登ると推察できます。
そして日本には、犬猫を迎えたいと考えている人が、年間数十万はいる事が、流通している数で理解できます。
そしてその需要が、生体販売業界の供給を生み出し、その供給の上流が「子犬工場」です。片方では、引き取られないと死ぬしかない犬猫が、何十万といるにも関わらず、毎年何十万もの犬猫を産ませる、狂った構造です。
「私達は違うから」と目を背けるのは、生体販売業界の少しだけマトモな業者が、「私達は子犬工場では無いから」と、同じ業界にいながら他人のフリをしてきた事と同じです。
どんな業界でも、それなりに成熟してくれば「自主規制」を考えて、甘い顔をしたい同業であっても、ルールを守らなければペナルティを課します。生体販売は「私達はマトモだ」と言うだけで、命をモノとして扱う「子犬工場」や「ペットショップ」には誰も何も言いません。つまり、中からは変われない野放し状態だという事です。本来ならJ◯Cが管理すべきですが、朝日新聞の太田記者の質問に対して、副会長は「優良だろうが子犬工場だろうが、申請があれば血統書は発行する」と明言していました。
だとすると、外から圧をかけるしか方法はありません。そんな事を許せない私達の声を大きくする為に、もっともっと仲間が必要です。それはSNSなどのシェアだけで、参加できる活動です。
犬がくれた「ありがとう」の涙 ある保護犬ボランティアの手記 (文庫ぎんが堂) [ 篠原淳美 ]
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