ペットの売買がない日本へ 澤木のブログ

ペットを取り巻く環境の問題を、辛辣に取り上げて参ります。

遺伝性疾患。犬猫の異常な繁殖環境による弊害

「猫ブーム」とか、くだらない煽りも手伝って、最近は猫もペットショップで迎える件数が多くなってきました。ただ、犬を迎える方法としての、「ペットショップで購入」の割合と比べると、まだまだ野良を拾ったり、人から譲ってもらったりの割合は高いかも知れません。

 

残念ながら、HIKAKIN氏も猫好きと言いながら、平然とスコティッシュフォールドを迎えてしまう始末。私たちが言う犬好きや猫好きと、ペットショップで平然と迎える犬好きや猫好きは、同じ言葉を使っていても中身は違うのだと思います。

 

キリスト教でも、カトリックプロテスタントは全く違いますし、どちらかというとそういう関係は、他の宗教との関係よりも険悪だったりします。

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この「スコ座り」と呼ばれる座り方も、私たちの間では「全身を襲う痛み」による苦肉の策だというのが定説になりつつありますが、メディアや「私たちとは違う種類の猫好き」は、この姿をかわいいと思ってスコを選んだり勧めたりします。

 

「遺伝性骨形成異常症」と呼ばれる病気で、骨瘤(こつりゅう)とも言われます。足やしっぽの骨が変形したり軟骨が増殖してコブができたりする病気です。「Fd遺伝子」という常染色体を、親猫から受け継ぐと発症します。スコティッシュフォールドの発症確率は高いといえます。特徴的な小さく折れた耳も、実は耳軟骨の骨瘤が原因です。重症化すると足やしっぽに症状が現れて脊椎へと症状が進行します。

 

ペットを専門に扱うサイトでも、業界に媚を売りたいところなんかは、「身体が柔らかいからできる座り方」などという説を取っており、「痛みによる」説には一切触れていませんでした。

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コーギーは、車椅子生活になるコの比率が、異様に高い犬種です。これも、コーギーという犬種が持つ、遺伝的な問題に起因するものだと言われています。変性性脊髄症(Degenerative Myelopathy:DM)と呼ばれる遺伝性の疾患で、元々はシェパードに多く見られた病気です。

 

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ダックスの中でも、少し珍しいダップルという色ですが、ダップル同士の交配は禁じ手と言ってよい程、リスクの高いものになります。ダップル同士の交配では、全身が真っ白で目が青く、心臓疾患、視覚・聴覚障害などを持っている子犬が産まれる危険性が高くなります。一説では約25%もの仔犬が障害をもって産まれるとも言われています。

 

我がコの、遺伝的な疾患の可能性を調べたければ、今は検査することができます。

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ちょっとSNSなどで、「そういうコを否定するのか」という類の意見を見た事がありますが、ここに挙がっているものが検査の目的だと理解して下さい。

 

①新たに遺伝性疾患を持った犬・猫を生まれさせない交配を目指す

これは、最も重要な利用方法だと思っています。私達が目指そうとしている動物愛護法改正の中身のひとつに、生体販売や繁殖への認可制や免許制があります。その認可へ導入できれば、遺伝性疾患を出すような繁殖場を淘汰できる可能性も高くなり、生きていくのに苦労が必要な犬猫を減らす事ができます。

 

②現状および将来にわたっての遺伝性疾患の発症リスクの理解

③その後の適切なケアにつなげる

これは、私達飼い主にとっての利用方法です。既にこの世に生を受けたコの遺伝性疾患は、私達が受け入れて受け止める必要があります。その可能性がどの程度あるのかを理解する事で、精一杯の予防と抵抗を考えられます。

 

犬の代表的な遺伝性疾患です。

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続いて猫の代表的な遺伝性疾患です。

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私も、遺伝性疾患の検査をする会社と付き合いがあります。それだから言う訳ではなく、これらの検査は遺伝性疾患を明らかにする事が目的です。その後、それに対してどのような行動があるのか?何をどうジャッジするのか?については、検査とは別の切り口を考える必要があります。既にある命について、遺伝性疾患があるなら対処するのが正しいジャッジになるでしょう。しかし、これらの検査を最も有効活用できるのは、乱繁殖を繰り返すような繁殖者を締め付ける事だろうと、私は考えています。

 

人間の「趣味」や「好み」や「金儲け」の為に、苦しい生活を強いられる身体で生まれるような事が無いよう、配慮する必要があると思います。

 

 


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