ペットの売買がない日本へ 澤木のブログ

ペットを取り巻く環境の問題を、辛辣に取り上げて参ります。

「しっぽの声」1・2巻

皆さんは、小学館から発売されている、ビッグコミックスの「しっぽの声」をご存知でしょうか?

 

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1巻では、素人ブリーダーによる多頭飼育崩壊を中心にした、動物達の悲劇を取り上げています。「餓死」「共食い」「錯乱による自分食い」「狂犬病」「殺処分現場の苦しみ」など、こういった事に初めて触れる方には、想像もつかない凄惨な事象が描かれています。

 

ペットショップの店頭で、「可愛い」「癒し」だのと謳っている表舞台と、とても同じ犬猫に関する話とは思えないような事です。しかし、同じ日本の同じ犬猫が、一方では家族として愛されており、一方ではモノ以下の扱いを受けている闇の部分を、鮮明に描いた作品です。

 

最後の部分では、譲渡会での難しい判断を思わせる描写もあり、決して心ある善良な方ばかりが、譲渡会を訪れる訳では無いという問題も取り上げてくれています。

 

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2巻の予告として「パピーミル(仔犬工場)」の事が触れられ、

 

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2巻も無事発売されました。2巻は確かに、安易な繁殖の問題を多く取り上げていますが、「仔犬工場」というよりも「バックヤードブリーダー」という印象でした。「仔犬工場」という言葉は、どうしても福井県で発覚したような、何百匹という規模の田舎の施設というイメージです。この2巻で取り上げられているのは、マンションの一室で繁殖をしている、小規模のものでした。そのブリーダーもまた、他のブリーダーから騙されて始めたという、まるでマルチ商法かのような危険性を訴えています。もし私達の周りで、ブリーダーを始めようと思う、などという人が現れ始めたら、ぜひこの2巻を読ませてあげて下さい。

 

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3巻の予告で非常に期待したいのは、「殺処分ゼロという美辞麗句の裏に隠された真実に切り込む」という内容です。

 

これは物語としての裏読みになるので、別の観点の話になりますが、主人公のひとりであるシェルター運営者は、登場時から粗暴さが目立つ男性ですが、常に正しい判断をしています。一方でもうひとりの主人公であるエリート獣医は、理想は高く良い人ではあるのですが、現実を踏まえない甘ちゃんなところが目立ちます。

 

2巻の終わりにふたりは、関節症で一生痛みを伴う猫の安楽死を巡って対立します。そんな中で、甘ちゃん獣医師に「殺処分ゼロ」を掲げる団体が近寄り、協力を得る運びとなります。いかにもこの「殺処分ゼロ」団体には、大きな問題があるように示唆されています。

 

もちろん私達の頭には、どうしてもある団体が思い浮かびます。溢れかえる犬猫が問題化するというのは、1巻でも2巻でも一軒規模で取り上げられました。3巻では全く規模の違う、多頭飼育の問題が描かれているのかと思います。

 


しっぽの声 2 (2) (ビッグコミックス)