私達が目指した「殺処分ゼロ」とは別物
最新の犬猫殺処分数が、公表されました。
2008年からの10年間で、殺処分は6分の1以下に減ってきました。一般的にも、保護犬や保護猫の譲渡という文化が、かなり広がってきた事。その源泉にもなっている、愛護団体やボランティア、連携する行政などの取り組みが実を結んだところが大きいと思います。
一方で、そう前向きな理由だけでは無いと、邪推する部分や事実の箇所もあります。それが「殺処分」の定義を変え始めた事ですね。
こういった記事には「定義明確に」と、環境省が発表した方針が正しいかのような表現が散見されますが、はたしてそうでしょうか?
その方針と定義は、次のようなものです。
「譲渡に適さない個体」を、「殺処分」には含まないという方針です。しかもこの記事がやらかしているのは、「完全にゼロにはできない課題も出てきた」と、実質的な犬猫の福祉や権利よりも、「殺処分ゼロを達成する事」が大事なんだと漏れてしまっている事です。
このような方針や、それに伴うカウントになった今、殺処分の減少は過去とは違う基準であるという事になりました。
同じ定義や基準で無い数字が減った事に、いったい何の意味を見出せると言うのでしょうか?
私はよく、これまで愛護団体やボランティアの方が目指してきた「殺処分ゼロ」を「真の殺処分ゼロ」と呼び、これは数字のコントロールで成り立つようなものではなく、「不幸な犬猫ゼロ」と同じ意味だったと考えています。
それに対して環境省が掲げた、政治家をはじめとした「殺処分ゼロ」の手柄が欲しい連中に慮って定義した、新しい「殺処分ゼロ」は「偽の殺処分ゼロ」と呼んでいます。だって実際に、「譲渡に適さない個体」は殺処分されていますからね。
私達がかつて目指した「真の殺処分ゼロ」は、もうどこにもありません。今の「偽の殺処分ゼロ」ならば、その向こうにもまだまだ目指すべきゼロが残されている事に気付くべきでしょう。