「譲渡に向かない」という理由で殺処分数を誤魔化す?
かつて「殺処分の数は誤魔化せる」という趣旨の記事を書きました。それは、環境省が「殺処分ゼロ」の定義を明確にした、あるいは私達から見れば「変えてきた」事を論拠としています。
そして、その定義とは次の通り。
①譲渡に向かない個体の殺処分
②①以外の殺処分
③収容後の死亡
という分類において、いわゆる「殺処分ゼロ」に該当するのは②だけだという定義を決めました。
大変危険な考え方だと思い、常々警戒を呼びかけてきました。なにせ、①や③が実質殺処分にカウントされず、②がゼロになった時点で「殺処分ゼロ」を堂々と謳えてしまうからです。ゼロを達成したとしても、さらに①や③の縮小に向けて努力するなら良いのですが、例えばゼロ達成したから力が入らなくなるとか、予算が減るとか、ゼロ地域だから捨て犬猫が多くなるとか、様々な弊害も考えられます。
またなによりも懸念していたのは、わざと保護犬や保護猫を①や③に分類して、「殺処分が減ってるように見せかける」事でした。①について考えられるのは、努力すれば充分譲渡に耐えられる個体であるにも関わらず、「譲渡に向かない」とした方が数字上の都合が良いので分類してしまうというケース。③について考えられるのは、適切な治療をすれば回復の見込みがあるにも関わらず、譲渡につながるかどうか分からないから、あるいは部屋の数などの問題で治療を受けさせないというケースです。
この危険性が消えた訳ではありませんが、結果今のところそのような数字の操作は「行われていない可能性が高い」と考えています。
収容数ー返還・譲渡数=殺処分数が、今のところ成り立っています。さらに、その殺処分の内訳に①②③が全て含まれているようです。
もちろん、収容数からして誤魔化せば、色々と操作は可能ですが、私が懸念していたような「①と③は殺処分に含まれないから、そこへ振り分けてしまう」というような誤魔化しは、「殺処分に含まれないから」の時点で、現在は該当していないようです。
それでも、行政の現場から聴いた数と、環境省が公開した数(自治体が環境省に報告した数)が違うという話は、様々な方面から聴かせて貰っているので、引き続き様々な段階や階層での数字の擦り合わせチェックは、私達が忘れてはならないところだと思います。
また、「誤魔化しは許さない」という声をあげ続ける事が、正しい数字公開を促進させるのも事実だと思います。いつの日か、①②③の分類を後悔しない日がこないように、しっかり見守っていきましょう。
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